WAVE治療とは?

WAVE治療とは?イメージ写真

WAVE(Water Vapor Energy)治療は、Rezum®(レジューム)システムを用いた経尿道的水蒸気治療です。
つまり、水蒸気を用いて前立腺肥大症を治療する方法です。103℃の水蒸気を9秒間噴霧し、前立腺組織を約70℃まで上昇させ、組織を壊死させることで治療を行います。
低侵襲で、異物を体内に残さずに治療できます。水蒸気によりムラのない治療効果が期待でき、尿道粘膜の温存や性機能の温存にもよいとされます。

WAVE治療の機器使用イメージ

1. 患者様の尿道にデリバリーデバイスを挿入します

デリバリーデバイスを尿道に挿入

2. デリバリーデバイスの先端から針が出ます

デリバリーデバイスの先端から針が出る様子

針からは水蒸気が出ます。内視鏡で確認しながら、適切なところで針を前立腺の肥大した組織に直接差し込み、水蒸気を注入します。

3. 水蒸気が前立腺組織に充満します

水蒸気が前立腺組織に充満する様子

前立腺組織の「間質」と呼ばれるスペースを伝って水蒸気が充満します。水蒸気は約103℃ですが、前立腺の温度は体温と同じですので、水蒸気が前立腺細胞に触れて温度が下がることで、治療を行った部分は約70℃になります。この過程で治療部分の前立腺細胞は破壊されます。

4. 約1~3か月かけて自然に体内に吸収されます
治療後、肥大していた前立腺が小さくなり、前立腺肥大症による下部尿路症状が緩和されます。この治療は、側葉肥大・中葉肥大のいずれにも対応しています。

WAVE治療の特徴

デリバリーデバイスを尿道に挿入

  • 手術時間は約10分と短時間です(※麻酔時間は除きます)。
  • 身体への負担に配慮した治療です。お腹を切開することなく、尿道から専用機器を挿入して治療を行います。
  • 患者さんの全身状態や基礎疾患を十分に評価したうえで、高齢の方でも治療を行っています。
  • 排尿症状の改善が期待できます。即効性はありませんが、前立腺による尿道の閉塞が改善されることで、約1~3か月かけて徐々に尿勢低下、頻尿、夜間頻尿、残尿感などの症状の改善がされます。
  • 性機能への影響が比較的少ないと報告されています。切除を伴わない治療であり、従来の手術と比較して射精機能への影響が比較的少ないことが報告されています。ただし、効果や影響には個人差があります。
  • 5年間の有効性が臨床結果で報告されています(5年間での再手術率は4.4%と低い数値です)。

このような方に治療が検討されます

  • 薬物療法で十分な改善が得られない方やお薬をやめたい方
  • 排尿症状によって生活の質が低下している方
  • 尿閉を繰り返している方
  • 身体への負担に配慮した治療を希望される方
  • 長期的にカテーテルを留置している方で、自己排尿を目指したい方

診察・検査の結果により、適応を最終判断します。

治療の流れ

1. 外来診療
前立腺肥大症の程度を検査し、治療方針を決定します。WAVE治療が可能かどうかを検査します。
2. 日帰り手術
麻酔(局所麻酔、静脈麻酔、脊椎麻酔など)をしてWAVE手術を行います。手術時間は約10分で終了します。尚、麻酔を含めた時間は、麻酔の種類により異なります。
尿道に膀胱留置カテーテルを留置して手術終了です。
3. 術後の経過観察
麻酔の効果がきれるまでリカバリー室で1~3時間ほど安静になります。
安全を考慮し、手術後の膀胱留置カテーテル抜去まで1~2週間の留置期間を設けています。実際の留置期間は手術内容や前立腺の状態によって長くなることがあります。

術後の経過

  • 手術後は前立腺がむくんでいるため、尿の出方が悪くなることがあります。
  • 効果は徐々に現れ、2週間から3か月かけて排尿症状の改善が期待されます。治療の効果が出てくるまで、術前に内服していた前立腺肥大症の薬は継続します。
  • 術後1~2週間後にカテーテルを抜去しても尿が出にくい場合は、カテーテルを再留置して1週間程度経過を観察する場合があります。

手術費用について

WAVE治療は健康保険の適用で、高額療養費制度の対象です。
自己負担額は、保険負担割合、高額療養費制度の利用状況などによって異なります。
実際の支払額は、麻酔・検査・処置の内容、所得区分によって多少変わります。
70歳以上(1割・2割負担)の方は、外来(日帰り)手術では外来自己負担上限が適用される場合があります。また、マイナ保険証を利用している場合は、原則として限度額適用認定証の事前申請は不要です。一般的な目安は以下のとおりです。

一般的な手術費用の目安

年齢 1割 2割 3割
70歳未満 約8~18万円
70歳以上 約2.2万円 約2.2万円 約8~18万円(現役並み所得)

よくある質問

手術時間はどれくらいですか?
前立腺の大きさなどによって異なりますが、一般的な手術の時間は10分程度です。尚、麻酔を含めた時間は、麻酔の種類により異なります。
手術中に痛みはありますか?
脊椎麻酔を行う場合、治療中の痛みはほとんどありません。術後は尿道の違和感や軽い痛みがみられることがあります。
入院は必要ですか?
入院の有無や期間は患者さんの状態や施設によって異なります。当院では日帰りになりますが、詳しくは診察時にご説明いたします。
治療後すぐに効果がありますか?
水蒸気によって治療された前立腺組織は時間をかけて吸収されるため、症状は2週間から3か月かけて徐々に改善します。
性機能への影響はありますか?
射精機能への影響は比較的少ないと報告されていますが、個人差があります。詳しくは診察時にご相談ください。
高齢でも治療を受けられますか?
年齢だけで判断することはありません。全身状態や基礎疾患などを総合的に評価し、安全に治療できると判断した場合にご提案します。90歳前後の方でも行われています。

当院では患者さん一人ひとりに適した治療をご提案します

前立腺肥大症は、適切な治療によって排尿症状の改善が期待できる病気です。
当院では、患者さん一人ひとりの症状や前立腺の大きさ、年齢、基礎疾患、ご希望を十分に考慮し、それぞれに適した治療をご提案しています。
排尿に関するお悩みがありましたら、お気軽に当院へご相談ください。

他の前立腺肥大症手術との比較

前立腺肥大症に対する手術には、以下のような治療法があります。

前立腺蒸散術(WAVE治療)

水蒸気の熱エネルギーを利用して、肥大した前立腺組織を縮小させる低侵襲治療です。身体への負担が比較的少なく、射精機能への影響が少ないことが特徴です。

TURP(経尿道的前立腺切除術)

長年行われている標準的な手術です。電気メスを用いて肥大した前立腺組織を切除します。

PVP(光選択的前立腺蒸散術)

レーザーを用いて前立腺組織を蒸散する治療です。出血が比較的少ないことが特徴です。

HoLEP(ホルミウムレーザー前立腺核出術)

レーザーを用いて前立腺組織を核出する治療です。比較的大きな前立腺にも対応可能な治療法です。

各治療法の比較

項目 WAVE(レジューム)治療 TURP(経尿道的前立腺切除術) PVP(光選択的前立腺蒸散術) HoLEP(ホルミウムレーザー前立腺核出術)
身体への負担 ◎比較的少ない ○中程度 ○中程度 ○中程度
入院期間 ◎日帰りまたは短期間 数日程度 数日程度 数日程度
麻酔 脊椎麻酔、局所麻酔・鎮静 脊椎麻酔など 脊椎麻酔など 脊椎麻酔など
手術時間※ 約10分 約60分 約60分 約60~120分
出血 ◎少ない やや多い 少ない 少ない
射精障害(逆行性射精など) ◎約0.5~10% 約80~90% 約70~90% 約80~90%
大きな前立腺への対応 大きすぎる場合に制限あり ◎比較的大きな前立腺にも対応可能
尿道カテーテル留置※ 1~2週間 2~4日程度 1~3日程度 2~4日程度
  • 手術時間は前立腺の大きさや患者さんの状態、施設によって異なります。
  • 各治療法の特徴は一般的な報告をもとにした目安です。治療成績や合併症の頻度は、前立腺の大きさ、患者さんの状態、術式、医療機関などにより異なります。